世界人権宣言と遠隔教育・e-Learning

2008年10月20日から22日までの3日間、パリのユネスコ本部でEDEN(European Distance and E-learning Network)の研究ワークショップが開催されました。このネットワークには2005年以来毎年参加して発表してきましたが、遠隔教育やe-Learningの根底には人権の問題があることを改めて痛感しました。このワークショップは世界人権宣言が1948年に公布されて60周年の記念行事の一環として実施されたからです。さらに1976年には「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約(A規約)」が制定されて、その第13条第2項Cで高等教育も無償にすることが勧告されています。

このような状況を背景にして開催されたワークショップでは、さまざまな研究が報告され、なかには日本の学生を対象にしたe-Learningの研究もありました。すべての人に高等教育をいうスローガンのもとに遠隔教育もe-Learningも進められているので教育効果については大方の評価基準が了解できるという背景があります。とくにイギリスの公開大学(The Open University)が国内で大学での教育部門でトップ5に入ったということで高く評価されていました。

すべての人に高等教育をというスローガンは、当然のことながらこれまでの教育制度では実現不可能ですから、まったく新しい概念とこれからのICTの進歩に期待されています。最近のSNSの発達やアバターセカンドライフなども活用してメンターの役割を代替させようという発想も高等教育を無償化するための手段です。