京都レッツラーン大学校の設立に向けて

京都レッツラーン大学校の実質的な活動が始まって,1か月が経過しました.その間,わが国の政権も目まぐるしく動いています.「コンクリートから人へ」ということでさまざまな政策が打ち出されています.一方,大学については来年度の入試に向けての活動も…

京都府と京都レッツラーン大学校の契約が成立

京都府の緊急雇用対策の一環として募集されていたNPO法人向けの提案型事業に「セイフティーネットとしての京都レッツラーン大学校」という事業名で応募していました.その採択が内定していたものの,いろいろな手続きで遅れていたのですが,やっと契約書…

ドイツでの研究交流

パリのOECDでの打ち合わせと,ベルリンでの日独共同シンポジュウムならびにワークショップに参加するために9月6日から13日まで渡欧しました.OECDでは来年早々に開催を予定している国際フォーラムでの日程とテーマについてOECDのパトリック…

福祉国家は危ない綱渡り

8月末の衆議院選挙で政権が移動することになりました。このことはわが国の議会政治史で特筆すべき出来事です。これまでの自公連立から民主党の主導による革新勢力の政治に転換されることになりました。これで福祉関係の事業が拡大するでしょうし、さまざま…

韓国とフランスの教育基本法

先に教育基本法に対して学習基本宣言を考えてみてはと提案しましたが、教育基本法は他の国ではどのようになっているのでしょうか。韓国とフランスの教育基本法についても文部科学省のホームページからアクセスできたので、その一部を紹介します。韓国教育基…

学ぶことと食べること

このところ,年に1−2回はヨーロッパを訪れています.最近では,6月初旬にポーランドのグダンスクで開催されたEDEN(European Distance and E-Learning Network)の会合に出席して最近の研究の状況を報告しました.グダンスクはポーランドがソビエト専制…

教育基本法と学習基本宣言

わが国の大学では,現在,授業改善を図るためにFDと称される運動が推進されています.授業の教育効果を高めるために,教授法の改善が行われているのです.なかには「板書は分かりやすかったか」とか「説明ははっきと聞き取れたか」といった小学校の授業改…

不況時の企業の削減と損失

アメリカに端を発した昨年後半からの景気後退は,世界的な規模でさまざまな影響をもたらしていますが,新聞紙上では毎日のように人員削減と,企業利益の損失が報じられています.○千人の人員削減とか○千億円の経常利益の損失といった表現がなされています.…

セイフティネットの構築と学習開発専門家の育成

3月29日の日曜日に日本教育工学会主催のFD研修・ワークショップが開催されましたが,その実施をわれわれの研究所が担当することになりました.これまで大学の学生の授業,中学校初任者の研修などで実施してきましたが,主として大学の教員を相手の研修…

専門職教育と公式外学習と教育費

2月21日に関空から出発してパリにでかけました.23日にはボローニァプロセスに対してフランスがどのように対応しているのかについて専門職免状を与えているCNCP(Commision Nationale de la Certification Professionnelle)のMadame Anne-Marie Charaudから…

変動社会でのセイフティネットの立ち遅れ

学会などで高等教育の無償化の問題をとりあげても、まったく相手にされないのがわが国の教育界の現状です。しかし、現在の世界的な不況に当面して、派遣社員や非正規雇用の社員が解雇されている状況は、変動社会では十分に予測されていたところです。1990年…

世界人権宣言と遠隔教育・e-Learning

2008年10月20日から22日までの3日間、パリのユネスコ本部でEDEN(European Distance and E-learning Network)の研究ワークショップが開催されました。このネットワークには2005年以来毎年参加して発表してきましたが、遠隔教育やe-Learningの根底には人権の…

初めての教師体験

私は大学で工学部電子工学科を卒業しましたが,そのあと教育学部に編入学して2つの学部を卒業したことになります.教育学部に在籍していた当時,すでに工学部の学士の資格をもっていたので,大阪に新設された工業高校に常勤講師として務めるかたわら教育学…

教えられる態度から学ぶ態度への転換

まもなく秋学期が始まるので,授業の準備に取り掛かりました.今年の春学期の中等教科教育法情報の授業では,自分たちで学べるような環境を整えて,できるだけ教えないように試みてみたのですが,これが全員にたいして好評だったわけではありません.チーム…

大学の2極分化

7月31日付の日本経済新聞の記事ですが、大学がますます2極分化しつつあるようです。都市圏と地方、大規模大学と小規模大学との間で学生定員の充足率について、都市圏の大規模大学では十分に充足しており、ますます競争が激しくなっています。小規模大学…

教育サービスと学習サービス

今年の春学期の中等教科教育法情報は、指導者も受講者もなかなか辛いものでした。主体的学習あるいは自主的学習ということはよく主張されますが、現在の学生は、学校や塾で丁寧に教えられることに慣れているので、教えられず自分たちで学ぶということになか…

貧しい人々の学習権

最近のわが国の教育政策でも、主体的に学ぶことの重要性が指摘されるようになってきましたが、世間の風潮は少人数教育や個別指導による親切丁寧な教育が評価されています。塾や私学の宣伝文句となり、授業料はますます高騰しています。情報通信技術ICTの普及…

秋葉原の通り魔事件とm-Learning

秋葉原の歩行者天国で信じられないような惨事が起こりました。容疑者は25歳であり、ケータイに刻々と自分の行動を記録していたとのことです。この容疑者にとってケータイは日常的に使用されていて、まったく手放せないものだつのでしょう。以前にコンピュー…

遠隔学習と多人数授業

遠隔学習を実施するにあたって解決しなければならない問題は多人数教育のときの学習と管理の方法です。これまでに経験してきたのは、岐阜大学、佛教大学、滋賀大学の大学院レベルでの遠隔学習でした。受講者人数は3−12名という規模ですが、実施しての印象…

教えることを追及してきた日本

わが国は、明治の文明開化以来、学校や大学が知識の伝達と習得にとって最も有利な教育機関であると考えらてきました。ところがこの前提が崩れつつあります。それはコンピュータとインターネットの出現です。何かを知りたいときには簡単に検索してそれを見つ…

ストレスとその解消法

先日、同じ研究所で仕事をしている望月紫帆さんからストレスについてのインタビューを受けました。「どのようなことにストレスを感じますか」ということです。家族のことなども思い浮かびましたが、やはり「仕事で忙しすぎるとき、解決が馬鹿げている難問に…

生きる−働く−学ぶ

教育を考えるときに、愛国心、伝統文化の継承、道徳規範の浸透、科学技術の振興、産業の発展など、さまざまな理由が教育する側の論理として述べられます。このような主張はそれぞれがもっともですし、教育学者も教育行政関係者も教育愛あるいは教育的信念の…

PISA学力と失業率と移民労働者

OECDが実施する学力調査はPISA2003ならびにPISA2006としてわが国でも大いに話題になりました。フィンランドが1位を占めているのに対して、わが国は数学リテラシー、科学リテラシー、読解力で順位を下げてきているので学校での基礎基本の指導の徹底が叫…

パリの学校とICT活用

1983年にOECDは中等教育におけるコンピュータの活用状況について参加24カ国の調査を実施し、その翌年にパリの本部で国際会議を開催しましした。日本からは文部省の社会教育局(当時)から1名と大学から2名のものが参加しました。そのときの調査結果から、導入…

教育の価値観と情報通信技術の活用

情報通信技術の活用が,教育工学の分野でもっとも活発に研究されたために教育にとって重要な主観の問題,とくに教育的価値の問題が研究者にあまり意識されないままで進んでいるために、わが国の教育工学の限界になっています.「工学はつまるところ設計の学…

授業研究での客観と主観

授業研究にはいろいろなスタイルがありますが、私の場合には自分の授業を対象に研究してきました。自分の授業を他の人の授業と比較することはほとんどありません。それは自分の授業は他の人の授業と質的に異なっているからです。「質の異なるものを比較する…

今年の授業

今年の授業はTeamGearとこのブログを組み合わせての「学びのコミュニティー」が実現することになったので大変楽しみです。授業や教育について語る時、建前主義が先立って、自分の授業のまずさについて語ることがなかなか少ないのですが、このブログという方…

はじめてのブログ

若い人たちの間ではブログがはやっているようですが、日記をつける習慣のない私にはいきなり公開する日記を書くことは勇気のいることです。しかしエイヤ!と書き始めることにしました。 今年も新しいスタイルの授業への挑戦です。学部の授業「中等教科教育法…